izakamaの日記

くだらない話

【実話 季節外れの怖い話】マンスリーマンション 後編


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「ドサッ」

「ドサッ」

 

 

 

静寂の中、響き渡る物音。

やむ気配はない。

 

 

より一層、恐怖感が増してくる。


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この状況は普通ではない。

絶対におかしい。

 

 

 

 

そして、ふと大切な事を思い出した。

それは、先祖代々伝わる事。


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間違えた。

 

 

 

自分の代から始まったもの。

 

 

 

正確に言うと代々伝えていく事。

 

 

 

今まで何度も助けられてきた。

最強の呪文。

 

 

 

やってみよう。

 

 

 

恐る恐る唱えてみた。

 

 

 

 

「お◯ぱい」

 

 

 

 

控えめに唱えてみた。

 

 

 

 

「ドサッ」

「ドサッ」

 

 

 

 

足りない様だ。

 

 

 

 

もう一回。

 

 

 

 

「お◯ぱい」

 

 

 

 

「ドサッ」

「ドサッ」

 

 

 

 

なかなか手強い。

 

 

 

 

ならば、こちらも本気を出そう。


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「お◯ぱい」

「お◯ぱい」

「お◯ぱい」

「ピーピーピー」

(自主規制)

 

 

 

 

布団に潜りながら唱え続けた。


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どれぐらい時間が経っただろうか。

 

 

 

 

気付くとその物音は止んでいた。

 

 

そして少し眠っていた様だった。

 

 

 

 

やがて日が昇り、窓から光が差し込んできた。


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部屋を見回してみたが、特に異常も見られなかった。

 

 

 

 

勝った。

 

 

 

 

ホラー映画のエンディングさながらの光景。

 

言い様のない安心感に包まれていた。

 

 

 

 

やがて出勤時間を迎え、いつも通りに準備をして職場へ向かった。

 

 

 

 

その日も怒濤の1日。

 

 

本部とのやり取りや、内装工事の進捗確認など慌ただしく過ごした。

 

 

ヘトヘトだった。


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やがて仕事を終えてコンビニへ向かう。

 

夕食を買いお店を出ようとした時、買い忘れていた物に気付いた。

 

 

それはボディソープ。

 

 

ボディソープと言ったら

 

 

 

 

「ダブ」だ。


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砂漠状態のお肌を潤すらしい。

 

 

いつ何があるか分からないので、全身スベスベにしておきたかった。

 

 

その「ダブ」を今朝使いきっていたのだ。

忘れたら大変だ。

 

 

 

 

無事購入しお店を足早に出る。

 

 

 

帰宅し食事とダブを済ませ、早めに休む為に布団に潜りこんだ。

 

 

そして昨夜の出来事を思いだした。




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疲れていた事もあり、すっかり忘れていた。

あの恐怖が甦る。

 

 

 

今日は先に呪文を唱えた。

 

 

 

動画も流した。

 

 

 

何ならデリバリーしてやろうか。

 

ついでにオプションつけてやろうか。

 

しかし、それは止めておいた。

 

 

 

 

壁が薄いからだ。

 

薄いのはゴムだけでいい。

 

改めてそう思った。

 

 

 

そして、眠りについた。


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ふと目を覚ますと既に夜は明けていた。

 

何事もなく無事に寝ることが出来たのだ。

 

やはり呪文の力は素晴らしい。

 

お経よりも効果があるのではないだろうか。

 

 

 

 

そして、朝の支度をする為、風呂場へ向かった。

 

シャワーからお湯を出し、シャンプーをした。

 

次にコンディショナー。

 

そして次は

 

 

 

 


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ダブだ。

 

 

 

 

ダブ。

 

 

 

ん?

 

 

 

ダブがない。


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シャワーを止めて辺りを見回す。

 

 

 

ダブがない。

 

 

 

ダブがない。

 

 

 

 

いくら探しても見つからなかった。

 

 

 

昨夜使用したダブがない。

 

 

疲れでボケて捨ててしまったのだろうか。

 

 

部屋に戻りゴミ箱を確認したが、見当たらなかった。

 

 

部屋のどこにも見当たらない。

おかしい。

 

 

 

もしかしてダブを買ったつもりで、実は買っていなかったのだろうか。

 

 

いやいや、それはない。

 

 

もしそうだとしたら、それの方が恐怖だ。


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きもちいー、きもちいー。

そう言いながらないはずのダブを手に取り体をゴシゴシしていた事になる。

 

 

 

それはまずない。

 

 

しかし、無い物は無い。

 

 

仕方がないので、ダブは我慢しておいた。

 

 

 

 

その後は何事もなく過ごし、無事出張から戻る事が出来た。

 

 

 

しかしあれは一体何だったのだろうか。

 

 

深夜に鳴り響いたあのゴミ袋を落とす様な音。

 

 

 

そして姿を消した

 

 

 

 


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「ダブ」

 

 

 

今だに説明のしようがない。

 

 

 

唯一分かった事

 

 

 

 

それは

 

 

 

「ダブ」ではなく

 

 

 

「ダヴ」

 

 

だったという事だけだ。

 

 

(おしまい)